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医学教育・解剖学


からだの仕組みと働き1(鹿児島国際大学看護学部、解剖学、2023年度)


2023.4.13に開講した。

講義の準備中に、鹿児島と日本における看護学校の開設に、興味ある事実をネットで見出した。

ウイリアム・ウイリスが教鞭をとった鹿児島医学校出身で、西南戦争時には日本海軍の医官としてイギリスに留学し、後に森鴎外との有名な脚気論争で知られている高木兼寛は、ロンドンでナイチンゲールが看護学校を設立した病院に留学し、帰国後に慈恵医科大学病院の前身を設立し、そこに日本発の看護学校の設立に奔走していたそうだ。その時に、鹿鳴館の華と呼ばれた大山陸軍中将夫人の捨松が、日本で初めてのチャリテイーバザーを開き、その得た資金を高木兼寛に提供し、日本発の看護学校が設立されたのだそうだ。


はじめに(序章)

 

教科書には、メヂカルフレンド社の新体系看護学全書、人体の構造と機能① 解剖生理学を用いることになった。

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序章2023
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第1章(人体の基本構造)

人体の基本構造では、体表面から体内に透視して、身体の表面と内部の関係を理解する為に、種々の決まりごとがある。

この決まりに従って、正確に、人体の部位や臓器の位置等を記録、伝達することができる。

医療画像の理解には、この決まりが重要です。

また、体表から体内を透視することで、体内の病気の体表への表現(疼痛等)を理解できます。

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第1章(人体の基本構造)
第1章 配布資料
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第2章(人体の基本単位)

モデル細胞図は、種々の細胞の特徴を一つの細胞に表現したもので、この様な細胞はない。iPS細胞の発明とその後の応用研究では、種々の細胞に分化誘導して、細胞パネルを作成し、創薬に利用することから始まり、細胞分化とその誘導に多くの知見が集積されて来ている。また、細胞器官系の枠を越えた内分泌の実態が明らかになり、ヒトゲノムでのマイクロRNAがエクソソームで分泌されて、あたかも内分泌系のような離れた器官の細胞間でそれぞ影響しあっていることが示唆され、特に、がん診断への導入が期待されている。

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第2章(人体の基本単位)
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第3章 体液と血液

 体液の酸塩基平衡では、過呼吸症候群について、理解しよう。コンサート等で興奮して、大きな声で歌うと、呼気で二酸化炭素が体外に出て、血液の二酸化濃度が低下した結果、四肢の冷感やしびれ、失神を生じてします。早期に、頭から袋をかぶせて、その中で大きく深呼吸をすると、袋の中に二酸化炭素が増えて、吸気で血液に二酸化炭素が戻って来て、軽快する。

 また、止血の機序を理解しよう。

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第3章(体液と血液)
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第4章 血液循環のしくみ

大循環(体循環)、心臓、血管、身体の各部位の血管、リンパ系の循環、免疫系臓器について、それぞれ、大変重要な項目です。身体の各部位の血管は、多くの血管の名前が出てきますが、総て覚えようとせずに、大まかな把握にとどめて、次章からで、再度、重要なものは繰り返し出てきますので、その時に覚えましょう。免疫系臓器に関して、教科書にはわずかしか出ていませんが、現代の免疫学、コロナウイルスに関しての一般的な免疫学的解説が非常に専門的になって来ていますので、今後、必要でしょう。

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第4章(血液循環のしくみ)
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第5章 呼吸のしくみ

新型コロナウイルス感染症が感染症法上の2類から5類に移行し、2023のゴールデンウイーク後の第9波の到来の可能性が危ぶまれている。ただ、既に、ワクチンもかなり普及し、抗ウイルス剤も使用できる状況になって、超過死亡が明らか成るも、その死因に新型コロナウイルス感染がどのように関与してるのか、不透明な状況にあるようです。この呼吸の仕組の最後、臨床的に、昨今のコロナウイルス感染症の状況を紹介しました。

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第5章(呼吸のしくみ)
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第6章(排尿・体液調節のしくみ)

 近位尿細管は、尿細管内腔側に冊子縁を有して、糖等の再吸収を行う形態を有している。

 近位・遠位尿細管上皮は、基底膜側(間質側)に多くのミトコンドリアが分布して、エネルギー(ATP)を産生して、Na-Kチャンネル等の動かし、糖の再吸収等に要するエネルギーを供給している。 

 一方、ヘンレのループの尿細管上皮は扁平で、細胞小器官に乏しい。

 

 集合管尿細管上皮は、アルドステロン、バゾプレッシン、心房性ナトリウム利尿ペプチド等に対応して、機能する細胞小器官がある程度発達している。

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第6章(排尿・体液調節のしくみ)
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第7章(消化・吸収・代謝のしくみ)

消化器は、口、口腔、咽頭、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸(虫垂)、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門の管の成分と、唾液腺、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓と云った器官から消化液が分泌される。胃の胃底腺での分泌とピロリ菌の関係は興味深い。消化された物質は、門脈を経て肝臓に運ばれ、脂質は、リンパ管を経て鎖骨下静脈に還流する。

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第7章(消化・吸収・代謝のしくみ)
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第8章(からだの支持・運動のしくみ)

骨組織は、成長では、長軸方向には成長線で伸び、短軸方向には骨膜下の骨芽細胞で成長する。一方、できあがった骨組織は、破骨細胞で壊され、封入された成長因子等を継続的に供給し、ハーバース組織単位で再生されて、リモデリングされている。個々の骨は、関節でつながれて、関節の形でその運動の範囲が決まってくる。関節挟んだ筋肉により、特定の運動が出来るようになる。拮抗筋の等張性収縮と弛緩で関節が動くが、拮抗筋の等尺性収縮により関節は一定の位置で留まり,姿勢を制御する。神経からの活動電位は、筋接合部(シナップス)で筋線維(筋細胞)に伝えられ、それが筋小胞体中のカルシウムを細胞質に放出させ、アクチンとミオシンの装置で筋線維の収縮や弛緩を生じる。

 

 個々の骨、関節、筋肉についての教科書の表は、詳しすぎて、参考書的な活用が勧められる。適宜、参照して、勉強して行きましょう。

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第8章(からだの支持・運動のしくみ)
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第9章(情報受容のしくみ)

皮膚や体内部からの情報、嗅覚、視覚、聴覚は、その受容器の構造と共に、対応した中枢神経での情報受容が重要です。次章(情報伝達と処理のしくみと共に理解しましょう

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第9章(情報受容のしくみ)
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第10章(情報伝達と処理のしくみ)

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第11章(内部環境維持・調節のしくみ)

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第12章(恒常性維持のしくみ)

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第13章(生殖・発生と老化)

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第13章(生殖・発生と老化)
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解答例の期間限定の公開

 講義の前の予習と講義の聴講と講義後の復習で、少なくとも、教科書の何処にどのような説明があるかは、学生は理解しているものとして、試験問題も前もって公開して、自分の解答を教科書を参照しつつ作成し、この時に、知識の再確認の記憶を期待して、試験本番に、持ち込み資料なしでの記述で、その修得した内容とその記憶を確認するレポート試験を実施したが、8割の学生は、ほぼ期待した学習ができていたが、残りの2割の学生の記述は、教科書と講義内容に遠く及ばないものであった。

 

 解答例は、解答例であるが、自分の作製した解答例と比較して、再度の教科書と聴講した講義を思い出して、自らの学習の水準の向上を図って下さい。


中間試験問題(30)

1、心臓での血流を簡単に説明しなさい。(10)

【解答例】右心房の拡張期に胸腔の陰圧と下肢の筋肉ポンプにより静脈血が全身から右心房に流入する。右心房の収縮期に右心房から三尖弁を経て右心室に静脈血が流入する。次の右心室の収縮期に右心室から肺動脈弁を経て肺動脈に駆出される。肺での外呼吸で二酸化炭素を放出し酸素を取り込んだ動脈血が、左心房の拡張期に肺静脈を経て動脈血が左心房に流入する。左房の収縮期に僧帽弁を経て左心室に動脈血が流入する。そして、左心室の収縮期に大動脈弁を経て大動脈に動脈血が駆出される。心臓の冠動脈は、左右の大動脈弁の基部に開口し、心臓の心外膜下を走り、心臓の壁の外側半分を栄養し、冠静脈に還流し、右房に還流する。心臓の壁の内側半分は、心臓内の血液から酸素等の供給を受ける。これは、スポーツマンハートで、急に運動をしなくなると、厚くなった左心室壁の中央部に虚血の部分が生じる理由となっている。

 

2、気管支から肺胞までの構造の特徴と呼吸への影響を簡単に説明しなさい。(10)

【解答例】気管支から肺胞までは、気管支、細気管支、呼吸細気管支、肺胞管、肺胞に大別される。気管支は胸腔内では食道と並走し、気管支軟骨を有し、胸腔内圧の影響を受けない構造となっていて、粘膜は粘液細胞を含む多列線毛細胞からなり、表面の粘液層が繊毛で咽頭に吸入したごみや病原菌等を排泄し、死腔を形成している。細気管支は、気管支軟骨を欠き、肺胞内の表面張力を生じるサーファクタントを分泌するクララ細胞を含む単層繊毛上皮が内腔を覆い、胸腔内圧の影響を受け、喘息等では呼気障害を生じる部分である。呼吸細気管支は、肺胞を壁内に有し、肺胞管と肺胞はサーファクタんを分泌するII型肺胞上皮と呼吸に関与するI型肺胞上皮で構成されている。

 

3,腎小体での原尿が生じる機序を簡単に説明しなさい。(5)

 

【解答例】腎小体への輸入細動脈の血圧は、腎動脈で15mmHg低下し、血液の膠質浸透圧25mmHg、ボウマン嚢内圧 15mmHgに打ち勝つ55mmHg以上の血圧がある時に、糸球体の毛細血管の隙間、基底膜、足細胞の突起の隙間からなる3層のフィルターで、血液内の水と低分子の物質はボウマン嚢に濾出され、大きな分子の蛋白等は濾出されずに、1日180Lもの原尿が生じる。


期末試験問題(60)

) 食物が、口腔に入り、肛門から排便されるまでを簡単に説明しなさい。(10

【解答例】食物が口腔に入ると、咀嚼され、唾液腺からアミラーゼ等の消化酵素を分泌され、蛋白等の消化が始まる。その後、食物は、随意的に嚥下され(口腔相)て、咽頭に入ると同時に喉頭蓋が喉頭の入り口を塞ぎ誤嚥を防ぎ(咽頭相)、食道に送られ食道の蠕動運動(食道相)で胃に送られる。胃に食物が入ると、主細胞からペプシノーゲンが、壁細胞から胃酸が、副細胞からは粘液が分泌され、強い酸性の状態でペプシノーゲンは強い消化能力のペプシンになり、消化を進める。消化時間は、食物により異なるが少なくとも2時間程度は胃内の食物の消化にかかる。その後、酸性度が低下し、消化された胃内容物は十二指腸に送られる。十二指腸では、胆汁と外分泌されたアミラーゼやリパーゼ等を含む膵液が、主膵管からファーター乳頭で排出され、胃からの消化物と混ぜられ、腸の分節運動や蠕動運動で空腸に送られ、空腸と回腸で、蛋白質はアミラーゼによりアミノ酸に分解され、淡水化物(糖)は粘膜表層細胞の膜酵素で2糖類から単糖類に消化され、脂肪はリパーゼ等で分化され、キロミクロンとなり、吸収される。吸収された後の残渣物は回盲弁を通過して、盲腸に送られる。上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸で、その残渣物から分の吸収が行われ、便塊が形成される。便塊が直腸に送られると、排便反射が生じ、肛門から排便される。

 

) 骨のリモデリングについて、簡単に説明しなさい。(5

【解答例】骨は、特に緻密骨では、血管を含むハバース管を中心として骨層板が同心円状に配列し、骨細胞が分布し、このハバース層板系の多数で構成されている。骨表面で、単球系の破骨細胞が活性化し、骨表面に張り付き、その張り付いた骨表面を融解し、骨のカルシウムや閉じ込められていた成長因子等を血中に供給し、ハウシップ窩を形成する。その後、、ハウシップ窩で、活性化した骨芽細胞が血中のカルシウムの沈着を加えてハバース層板系を再生(骨形成)し、骨層板間で骨細胞となり、骨のリモデリングを行う。その結果、骨は強度を増すと云われている。血中のカルシウムは、活性型ビタミンDにより、腸管や腎臓から吸収され、骨形成で骨層板系に沈着する。破骨細胞による骨からのカルシウムの放出と、骨芽細胞や骨細胞によるカルシウムの骨へに沈着のバランスが崩れると、骨のカルシウム量の低下を示す骨粗鬆症が生じる。

 

) 拮抗筋について、例を示して、簡単に説明しなさい。(5

【解答例】骨格筋は、関節をまたいで骨に起始・停止している。例を肘関節で説明すると、肘関節を屈曲させる上腕二頭筋は、肩甲骨にその長頭と短頭は肩甲骨に起始し、橈骨粗面で橈骨に停止している、一方、肘関節を伸展させる上腕三頭筋は肩甲骨と上腕骨に起始し、尺骨の肘頭に停止する。このような肘関節を屈曲と伸展と云った反対の動きを生じる骨格筋である上腕二頭筋と上腕三頭筋を拮抗筋と云う。

 

) 視神経乳頭と盲点の関係を説明しなさい。(10

【解答例】第2脳神経である視神経は、眼球の胸膜を貫き、視神経乳頭を形成し網膜に広がり、網膜の視細胞の明暗を感じる杆体と色彩を感じる錐体から成り、眼球に視軸が網膜に達する部分が中心窩と云われ、杆体が非常に多く分布し、視力を生む。一方、視神経乳頭には網膜がなく、つまり、視細胞がないことから盲点となる。しかし、両眼視や片目でも、外眼筋により眼球を動かすことで、盲点を認識することはないが、片目で、一点を注視した状態で、2030cmの距離で一瞬盲点を認識することが出来る。

 

) 会話している時に、話を聞いて、返事するまで過程を説明しなさい。(10

【解答例】会話の相手の声は、音として、外耳から鼓膜を振動させ、その振動を中耳の耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨,アブミ骨)が内耳の蝸牛の前庭窓に伝え、蝸牛の内リンパ液に伝え、それがコルチ器の有毛細胞に感受され、蝸牛神経から内耳神経(第8脳神経)を経て、側頭葉の聴覚連合野に伝わる。その後、感覚性言語中枢(ウエルニッケ中枢)で音の言葉の意味が理解され、その結果、会話の返事を行う為に、運動性言語中枢(ブローカ中枢)に伝えられ、唇、舌、口蓋などを統合的に動かして発声のためのシグナルを運動野に伝え、発声し、会話の返事が発せられる。

 

) 副腎皮質ホルモンが分泌されるまでの機序を説明しなさい10

【解答例】副腎皮質が外側から球状層、束状層、網状層に分かれる。

球状層では、電解質コルチコイド(アルドステロン)が分泌され、その分泌は、腎臓の傍糸球体装置から血圧が低下した時にレニンが分泌され、それが、肝臓でつくられたアンギオテンシンIを増やし、肺の転換酵素でアンギオテンシンIIに変換され、これが血管を収縮させて血圧を上昇させると共に、副腎皮質の球状層に働き、電解質コルチコイド(アルドステロン)を分泌されるレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系によるものである。

束状層では、糖質コルチコイド(コルチゾール)が分泌されるが、その分泌は、フィードバック機構で、視床下部からのコルチコトロピン放出ホルモンが脳下垂体前葉に働き、副腎皮質刺激ホルモン/ACTH)を分泌させ、ACTHが束状層に作用し糖質コルチコイド(コルチゾール)が分泌される。ACTHは 色素細胞刺激ホルモン(MSH)の成分を含むことから、 過剰なACTH分泌が原因となるクッシング症候群では皮膚の黒化が見られる。

網状層では、両性で、副腎アンドロゲンを分泌し、女性では唯一の男性ホルモンで、その異常は女性に影響が強い。

 

) 免疫グロブリンの種類と特徴を観点に説明しなさい5

【解答例】免疫グロブリンの基本的構造は、Y字形の2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖から成り、2ヶ所の可変領域を持ち、この可変領域で抗原と結合する。この可変領域の多様性は、遺伝子の成分の組み合わせと共に体細胞突然変異により生じている。免疫グロブリンは、Bリンパ球とその分化した形質細胞で産生される。Bリンパ球の分化の段階で一時的に出現するIgD、アレルギー1型に関与するIgEの他に、IgM, IgG, IgAが、重(H)鎖で区別されている。IgM5量体で、初感染で生じる。次に、同じ抗原に遭遇すると、重(H)鎖のクラススイッチでIgGが生じ、長期のワクチンの効果の主体である。IgAは、粘膜上皮内で上皮性の分泌成分と結合して2量体になり、管腔内に分泌されても安定し、粘膜免疫の主体であると共に、母乳に含まれる抗体である。

 

) 胎児循環の誕生による変化を説明しなさい。(5

 

【解答例】胎児循環は、左右の内腸骨動脈からの2本の臍動脈(静脈血)と静脈管から下大静脈につながる1本の臍静脈(動脈血)が、臍帯内を走り、胎盤で酸素や栄養糖を胎盤で母体から得る。酸素を得て動脈血は、臍静脈から胎児の静脈管(アランチウス管)を経て、下大静脈から心臓の右房に至り、卵円孔を経て左房に至り、左心室を経て大動脈に流入し、卵円孔を経ない動脈血は、右室と肺動脈を経て、未だ肺呼吸をしていない肺に酸素を届け、残りは動脈管を経て大動脈に至り、大循環に合流している。誕生した新生児(出産直後)では、第一呼吸と同時に、膜様の卵円孔が閉鎖し、大静脈から静脈血が右室と肺動脈を経て、動脈血となり、左房から左室を経て、大動脈に至り、肺洞脈と大動脈の間の動脈管は次第に退縮し閉鎖して、新生児の循環が成立する。



新型コロナウイルス感染拡大下での看護学校での講義(2020年度前期)

新型コロナウイルス感染拡大下で、2020年度の鹿児島医療センター付属看護学校の解剖学の講義は、5月の連休明けに、校舎内でのSkype利用でのオンライン講義で始まった。

 

従来、よく出来た解剖学と生理学の合本である教科書(医学書院、系統看護学講座専門基礎分野解剖生理学(人体の構造と機能))を用いて、講義を行なってきたが、今後のズーム等での遠隔講義の可能性もあるかなと思い、一念発起して、パワーポイントでの講義スライド作成をすることにした。教科書を用いた活講義では、「この部分は重要です、細かい所も良く読んで」と説明することで済んでいたのが、講義スライドに簡単に説明文を記述する必要が出て来て、予想以上に時間と労力を要した。

2021年度解剖学講義資料

はじめに

 今から、看護学を学ぼうとする皆さんば、否応無しに、第4波が始まりつつある新型コロナウイルス感染症について、学ぶ必要があるようです。この新型コロナウイルス感染症では、医療崩壊の危機が叫ばれています。地域での入院病床数が指標になっていますが、今まで遭遇した医療崩壊地域で顕在化した問題は、感染症対策の心得があり、直接、頻繁に患者さんと接して多面的に患者さんを支える看護師さん不足であり、自衛隊看護師の緊急派遣要請が行われました。また、コロナ病床維持の看護師さん不足も顕在化して来ています。この新型コロナウイルス感染症パンデミックは、ワクチンの等の開発で、日本国内では、この12年で解決する思われますが、今度、同様に新規に流行し始めるウイルス感染症パンデミックは生じる可能性が高く、充分に理解して置く必要があると思われます。

 

 新型コロナウイルス感染症に関して、時事刻々と流行の状況が色々なTV番組で流れて来るが、全体としての理解には、NHKのヒューマエンスの一般的なウイルスとヒトの関係(ウイルス、それは悪魔か天使か)、人体シリーズの特別編(人体vsウイルス、驚異の免疫ネットワーク)、それに、AI全論文テキスト解析(新型コロナ 全論文解読、全論文解読2AIで迫る終息への道)が有用である。

 

 また、現在に医療は、遺伝子の解析とその臨床医学・医療への導入が始まって来ている。コロナウイルス感染症でも変異型が問題となり、PCR検査に加えて、全遺伝子解析の必要性が叫ばれるようになって来ている。遺伝子解析には、パネル解析、エクソン解析、全遺伝子解析の3段階がある。個々の患者さんの癌への最適な化学療法を行う為の遺伝子解析は、現在、特定の癌に関連した遺伝子のパネル解析である。いわゆるエピゲノム解析には、全遺伝子解析が必要であるが、まだ、一般には実施できない状況である。全エクソン(ゲノム)の未検索の種々の機能に加えて、遺伝子のエンハンサー等の調節機構の多くは現在研究段階であり、これらを実際の医学・医療に活用するには、いわゆるスーパーコンピューターによる全研究の検索を実施出来る病院のAI(人工頭脳)化が必要となり、それを操作する基盤もまだ充分には確立されていない。しかし、皆さんが、中堅の看護師になる頃には、日本の病院の幾つかはAI化されていると予測されるので、そういった医療の現場でも活躍できるように、遺伝子関連の事柄も学んで行く必要があるようです。

 

 

 今後、直面する課題は大きなものですが、一歩づつ学んで行きましょう!


2020年度解剖学 はじめに

 各章で最適と思われるNHK人体シリーズのDVDを活用して来た。これには、ミレミアム前の臓器別、脳と心、遺伝子のシリーズ(NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 I, II, III)があり、その後、細胞をベースにiPSからの分化・成熟細胞等の治験を加えて2枚のDVDのシリーズ(NHKスペシャル 人体 ミクロの大冒険)、遺伝子のヒトゲノムの全配列後のタンパク質をコードしないイントロンのエンハンサー等の解明を基礎に、遺伝子モンタージュ、閃きの遺伝子発現や老化等を扱ったシリーズ(NHKスペシャル 人体II 遺伝子 第2集 “DNAスイッチ”が運命を変える)、サイトカインでの臓器間連関や新たな理解、それに、マイクロRNA等のメセンジャーを運ぶエクソソームを扱った新シリーズ(NHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク)とその特別企画での新型コロナウイルス感染症の免疫学的理解、新型コロナウイルス感染症の病理等の理解に加え、その治療法の開発の現状を説明したもの(放送録画記録)がある。

最初のDVDシリーズ(NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 I, II, III)はミレミアム前のもので、ヒトゲノムのDNA配列の解明前のものであった。技術革新(次世代シーケンサーの開発と発展)が持続して、ヒトの病気の遺伝子レベルでの理解の深まり、ドライバー遺伝子の同定が進み、所謂増殖遺伝子以外のドライバー遺伝子の理解が深まって来ている。その成果の一つは癌細胞のドライバー遺伝子とその遺伝子の活性を有する癌への最適な抗がん剤を選択することが可能になって来ている。また、ゲノム編集技術の確立は、遺伝子治療の分野を拓いて来ている。しかし、いろいろな症例の説明とより具体的なCGの活用は捨て難かった。まだ、活用の必要があった。

 次のDVDシリーズ(NHKスペシャル 人体 ミクロの大冒険)では、山中先生のiPSの確立により、幹細胞から200余りの分化成熟した細胞を得る方法が確立されて来て、細胞の機能に注目されたものである。最初のシリーズ含まれていなかったホルモン・内分泌の内容が含まれていた。ヒトの老化では、自然免疫での貪食細胞の活性化の維持が重要な要因であり、iPS細胞技術で、特定の形質を認識するT細胞受容体をもったヘルパーT細胞を老人から採取し、そのiPSから復活させることが可能となり、これを再び老人に戻せば、その老人は自然免疫の活性化した状態をとりもどして、寿命が伸びる可能性が示唆されていた。この特定の形質を認識するヘルパーT細胞の幹細胞化(iPS)では、その受容体の確立の過程で遺伝子の一部が欠損することから、あのSTAP細胞の嘘を見抜かれた広大の難波先生の注目点が、その受容体を維持した形での分化誘導と大量再生が可能となることを示唆していたことは注目すべき点と思った。また、心筋の再生を、iPSから心筋細胞シートを作成して、心臓の傷害部位の外側に貼り付けることで血管新生を促す再生医療への応用が臨床に導入段階であるとの紹介もあった。

 遺伝子研究の最近の話題を扱った放送(NHKスペシャル 人体II 遺伝子 第2集 DNAスイッチが運命を変える、まだ、製品版のDVDを入手していないので、放浪録画記録DVDを用いた)では、所謂タンパク質をコードするエクソン領域に対して、意味を持たないイントロン領域は遺伝子全体の98%を占めるが、そのイントロンに遺伝子の発現調節のエンハンサーが含まれており、遺伝子モンタージュでは、顔も沢山のエンハンサーにより顔を形作る遺伝子を調整していた。

 最新のサイトカインでの臓器間連関や新たな理解、それに、マイクロRNA等のメセンジャーを運ぶエクソソームを扱った新シリーズNHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク)と新型コロナウイルス感染症をテーマに免疫学、新薬開発、ワクチン開発等の解説があり、生体防御関連の視聴覚資料として有意義なものであった。


 老化に関しても、老化に関与する遺伝子異常による早老症の存在と細胞分裂時計とされる染色体末端のテロメアの理解が進んでいる(老化のプログラム説)、最初の人体シリーズの老化(NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体III遺伝子4, 命を刻む時計の秘密)では、これに加えて、HLA等の遺伝的免疫背景も示していた。

 次のシリーズ(NHKスペシャル 人体 ミクロの大冒険 第3回 あなたを守る!老いと戦う細胞では、100歳を超える長寿者では、好中球の移動能と貪食能が保たれていて、所謂感染症による死亡を防いでいることから、この好中球の活性化には運動は有意義であるとの研究の紹介や、自然免疫のこの好中球の遊走と貪食の活性化を生じるヘルパーT細胞の活性の維持をiPS技術を用いたいわばドーピングでの回復の可能性も示唆していた。

 最新のシリーズNHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク)の第7集 “健康長寿”究極の挑戦では、癌の進展・転移を癌細胞からのエクソソームを標識して破壊する分子標的医療の可能性が紹介されていた。更に、心筋細胞のわずかな再生を促すエクソソームの発見の今後の期待も紹介されていた。

 老化や長寿が、生物時計説における老人の臓器変化が所謂生活習慣病の結果であることから、諦めではなく介入挑戦して、生活習慣病の医療と撲滅の試みは結果的には寿命を延ばすことを報告しているようである。

 

 


医学教育・解剖学

 

6年余りの解剖学教室と医学部の大学院への部局化に伴い感染防御学での教育・研究活動の時から、マクロとミクロ解剖学教育に参加し、村田長芳教授の紹介で、医療センター附属高等看護学校の解剖学の講義をすることになった。

 

丁度、NHKでの人体シリーズ等の特別番組の放送があり、その関係のDVDを揃えて、現在まで、授業に活用している。

 

【学習に要する基礎的な知識】では、先ず、人体シリーズIIIの序章を活用している。ヒトゲノム解析前の編集されたものであるが、陸の孤島状態の街の教会の出生、結婚、死亡の記録を追跡すると、血中の脂質の担体蛋白遺伝子異常は中世の或る男性にたどりつく、営々とその遺伝子異常はポルタトーレ(運び屋)に引き継がれて来た。その遺伝子異常は、担体蛋白を2量体として脂質運搬能力を向上させて、動脈硬化を予防していた。遺伝子異常のマイナスのイメージを払拭して、創薬への興味を持たせるものであった。また、このDVDの視聴効果には、染色体と遺伝子の関係のイメージ化、若いカップルでのポルタトーレの出産という身近かな出産の持つ遺伝学的な意味の理解も期待できそうだ。

 

【消化器】では、オーソドックスな嚥下の理解は昨今の脳血管障害の増加に伴い、脳幹障害に伴った誤嚥性肺炎は重要だ。

 ストレスの多い時代となり、キラーストレスと言われるものの理解が進み、歯周病とその弱毒菌の動脈硬化病変へ侵入が話題になっている。この動脈硬化病変の歯周病菌は出血が生じると、その含まれる鉄分を栄養としてその歯周病菌が爆発的の増殖して血管壁を破壊して、重大な出血性病変を発症させ、場合によっては死に至ることもあるそうだ。

 胃のピロリ菌感染と胃粘膜の粘液による粘膜防御との関係も重要である。胃ピロリ菌の除菌による消化性胃潰瘍手術例は著減してしまっているが、その意義は説明しておく必要がありそうだ。

  腸内細菌叢の失調は、アレルギー疾患を発症させており、 場合によっては、健康なヒトの腸内細菌移植も行われるそうだ。腸内細菌叢での乳酸菌と長寿の関係が示唆される一方、昨今では、長寿と関係するのは、白血球の運動能や貪食能だそうで、長寿、自然免疫能、腸内細菌叢に何らかの関係がありそうだ。

 

【循環器】では、人体シリーズでの、心臓内部イメージでの血流と心房・心室、弁の関係を理解でき、更に、心臓移植患者での神経制御が出来ないことの部分は臓器や微小環境の調節に関して、神経制御、ホルモン制御、代謝制御の理解に有用である。日本では、ややもするとマイナスイメージの心臓移植での移植された生理機能が出てくるとは、放送された1990年代にはかなり先進的な内容であったようだ。最近の重症心不全の外科的加療では、更に、植え込み型人工心臓も作れる脈圧が70mmHg程度と低いそうだが、治療技術として確立した心臓移植からは充分であるそうだ。きっと、今後は、脈圧を充分に作れる人工心臓の開発が行われるのであろう。人体シリーズではなく、病の起源の心臓に関するものは、心臓の比較生物学でき、ある種の両性類(ワニ)での心室が海綿状で、それを絞り出すように拍出するのに比較して、心房・心室と弁の確立による高性能心臓故の問題点も示唆されており、興味深い。

 

【泌尿器】血圧、傍糸球体装置装置からのレニン、肝臓で産生されるアンギオテンシン、そして、アンギオテンシン変換酵素、血管のアンギオテンシンII受容体、副腎皮質の鉱質コルチコイド(アルドステロン)系と慢性炎症下での貧血に関与する腎臓からのエリスロポイエチンは腎臓の重要性を理解できる。

 

【自律神経系と内分泌系】生体の内部環境或いは細胞内外の微小環境を制御する速さは、神経制御、内分泌(ホルモン)制御、そして、代謝制御。性的成長が地域的に遅れ、二次性的成長期でゲノムの性徴と一致して来る地域があるのだそうだ。

 

【骨格と筋肉】では、人体シリーズでは、米ソの宇宙飛行士の骨のカルシウム量の低下と筋力の低下が話題となっている。昨今の骨粗鬆症や廃用性筋力低下に連なる問題で、現在でも、興味深い。特に、筋力低下に関しては、重力のある環境での耳の三半規管での等長性筋収縮により、拮抗筋を鍛えて体幹を鍛えることができるそうだ。 所謂、NASAの高額な振動や横揺れ健康器、30分に1回の椅子からの起立、ぶらぶら体操と、体感出来る学問であるようだ。

  しかし、筋線維と周囲組織との関係に関連した蛋白等の異常は臨床的に重大な疾患を生じさせるのだが、この分野の特集はまだ無いようだ。この点は、神経内科に進んだ同級生に指摘されて以来、注意して情報収集やエアーチェックしているのだが、無いようだ。確かに、解剖学の教科書では、この領域が欠けている。臨床筋肉学とでも言うべきものがあるであろうが、現在の解剖学の大きな問題点でもあるようだ。

 

【神経系】毎年、人体のIIのケンブリッジ大学の法科の優秀な学生に生じた脳出血により短期記憶が障害されたものの活用している。短期記憶障害を、メモとレコーダーで代用し、体の動きによる記憶(職人技)を活用し、家具職人の道を選択するというものです。これを、学習に活用して、ただ教科書に線引きするだけでなく、学習した内容や教科書の説明を自分の言葉で簡略化し文章化して、物語記憶や書くことで体で覚えることを勧めている。

 先日、ホモサイエンスの複雑な道具を作ることは、石器を作らせたビデオを見せると現代人でもブローカーの運動性言語野を含むもの皮質の活性化が生じていることから、複雑な言語を操る能力と複雑な道具を作ることは同義の現象と理解されるそうだ。

 認知症に関しては、プレタール(シロスタゾール)の脳動脈の拡張機能により、何らかの機序で血管基底膜等に蓄積したβアミロイドを排出している可能性があると紹介されていた。そこで、認知症前期での使用が期待されるのだが、抗血小板機能と血管拡張作用が心不全に禁忌として、やたらとその使用が制限されている一方、他の代表的な血管拡張剤の抗認知症効果等は調べられていない現状だそうだ。

 

【免疫・生体防御】昨今の免疫学では、悪性腫瘍の免疫制御機構を解析して、治療方法に導入することが話題になっている。しかし、まだ、教育内容としてまとめられていない領域が多い。

 最近は、ミクロの決死隊と言っても、学生の反応が無いが、DVDCGには感心しているようだ。

 骨髄移植に関係して、再生不良性貧血での骨髄バンク利用でのHLAの適合性等の話は、患者も学生と同世代で、興味を持って視聴しているようだ。

 母乳と新生児の関係では、IgAがあるが、母乳に含まれるものオリゴ糖は、乳児の特殊な腸内細菌を増やして、IgAと共に、乳児の免疫機能が発達し始める生後6ヶ月までも腸管の免疫を担っている。

 

【生殖系】この領域の教育メデイアが充実して来ている。古い話題かも知れないが、誕生前後での循環と呼吸の転換は、大変大切なものと思っている。