免疫組織化学 トップページ


 

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所謂、免疫組織化学には、対象が新鮮未固定生組織である場合と一般には緩衝ホルマリンで固定されパラフィンで包埋された保存組織がある。ヒト組織の場合は、前者は術中診断の残余組織や凍結切片でしか検出されない抗原の検索に用いられるもので、昨今の抗原回復法の進歩に従って少なくなって来ている。後者は、病理検査診断後に保存されているものが大多数である。

 

 

新鮮未固定組織も、目的に従って、適切な固定が行われて、一般には、蛍光免疫組織化学で検索される。この蛍光免疫組織化学では、染色標本は蛍光顕微鏡やレーザースキャン顕微鏡で観察される。最終的な蛍光免疫組織化学染色像は、蛍光顕微鏡の場合は、暗視野での増感技術やデジタル増感法にて、蛍光が増幅されて記録されている。その為に、検出された抗原量の比較は定性的評価は可能だが、蛍光の増感・増幅率が表示されないことから定量的な評価には問題を内在している。各顕微鏡には、その蛍光増感・増幅率は内部には記録されているのであるが、一般に、過去の蛍光顕微鏡の露光時間の表示は別として、デジタル蛍光像では表示されていない。

 

 

 

 

 

固定組織の抗原回復免疫組織化学では、抗原回復と間接酵素抗体法の充分な理解が必要とされる。

 

抗原回復には、1) 切片をクエン酸緩衝液 pH678EDTA溶液 pH8以上、pH非依存性クエン緩衝液等に脱パラフィンした切片を浸して、電子レンジ、圧力鍋、オートクレーブ等で加熱する熱抗原回復は、ホルマリンでの化学固定で架橋等の形成でますくされた抗原を架橋をきることで抗原回復し、2) プロテアーゼ等で抗原を含む複合体の一部を消化して、抗原を露出し抗原回復する。その他に、3)  尿素溶液中での低音での変性による抗原回復は、蛋白質のリコンフォメーションによる抗原回復であり、従来一晩の低温での一次抗体反応で検出される抗原検出の妥当性の検討で必要となるようだ。

 

間接酵素抗体法では、a) 一般に用いられている改良ABC法、sABC法、二次抗体とHRPALP等の酵素を標識したポリマー試薬法、b) ビオチン化タイラマイドのa) HRPで異化沈着反応でa) のシグナルを1000倍増幅し、更にそのビオチンを酵素標識したストレプトアビジンで検出するウルトラ感度法などがある。構造蛋白等である程度の量がある抗原は、a) の方法で、シグナル伝達分子やエンハンサー分子複合体の中の特定の抗原を検出する場合にはb) の方法で染色を行う。

 

間接酵素抗体法では、抗体の非特異結合の抑制は重要な処理です。抗体の特異反応か非特異反応かの判別方法は、JHCのグリシン処理での古典的多重染色の論文で報告しているが、通常の一次抗体反応後にグリシン処理して通常の二次抗体反応系で検出して陽性反応が出れば非特異反応です。

 

多く一次抗体の非特異反応の抑制剤が供給されていますが、私の非特異反応の無いウルトラ感度法の検討の中で判明したのは、BSA-PBSが最良のもので、DAKOProtein blockもかなり良かったが、経験では、30分以上の長い処理時間になると抗体の抗原結合も阻害されて来るので注意が必要だ。

 

間接酵素抗体法では、改良型ABC sABC法、二次抗体と酵素標識ポリマー試薬法は確立された安定した方法である。しかしながら、二次抗体でシグナル増幅して三次抗体と酵素標識のポリマー試薬法で検出する方法は、供給されている二次抗体がポリクローナルであったり、アフィニテイークロマト精製されていなかったりと、検出感度を飛躍的に上げようとすると非特反応の大きな問題が生じる。二次抗体と酵素標識のポリマー試薬法で陽性反応が微弱なものを強く検出したい場合に限られるようだ。

 

一方、CSATSAImmunoMaxと云ったウルトラ感度の方法では、熱抗原回復では非特異反応に注意を払う必要あるが、酵素処理による抗原回復であれば、かなり明瞭に検出できる。これは、標的分子の分布とそれが機能する状態に依存し、複合体を形成して機能するものは遊離するか、単純に他の分子と結合しているものがプロテイナーゼK等で消化されてしまうことに依存していると思われる。

 

 

 

大学院基礎専門課程の講義資料は、鹿児島大学リポジトリに記録してある。そして、そのPDFのダウンロード数は1000を超えているようだ。

 

イスラム圏女子教育プログラムの中で英語での講義の資料を順次このページで公開して行く予定です。

 

 

 

 免疫組織化学的染色法で、幾つかのものは、職務発明として、鹿児島大学、大学が申請しなかったりしたものは私が国内特許化してあるものがあります。それらの工業権に興味がある方は、私(蓮井和久)にご連絡ください。対応します。